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執筆者の写真chikako

R6.6.21 光の半導体



アイオン、日本経済新聞


NTT、「光の半導体」で限界突破 電気から技術転換

2022年1月21日 2:00



NTT研究企画部門IOWN推進室の川島正久室長は「次世代通信基盤は光のネットワーク、半導体によって成り立つ」と語る


現実世界と仮想空間が混然一体となった高度なデジタル社会。膨大な情報量を処理するため世界中でデータセンター需要は右肩上がりとなり、電力消費量は爆発的に増える見通しだ。このままではカーボンゼロ実現のお荷物になりかねず、米国のグーグルやアップルなどGAFAは発電時に温暖化ガスを出さない再生可能エネルギーの導入を急ぐ。

だが、難局を乗り切るには電力消費量そのものを大幅に減らす技術革新を起こすしかない。限界を突破しようと、国内通信のガリバー、NTTが開発を進めるのが「光の半導体」計画だ。

次は芝生にいるバッタの視点で頭上を飛ぶボールを見てみよう――。近い将来、こんなふうに好きな場所や視点から、サッカーの試合のゴールシーンを視聴できるようになる。NTTの研究企画部門で次世代通信基盤IOWN(アイオン)の推進を指揮する川島正久氏は、技術革新によってどこにいても可能になる新たなスポーツ観戦のスタイルを紹介する。

仮想空間「メタバース」上での映像表現などで使われる「ボリュメトリックビデオ」技術では、現実世界の場所や人物を撮影して3次元データにして取り込む。立体映像として360度全方位の自由な位置や角度から見ることができる。

何台ものカメラで撮影した映像をコンピューター処理して再合成するため、リアルタイム中継するには、毎秒数百ギガ~数テラビットのデータを転送する必要がある。テラビット級の無線伝送を目指すアイオンだから実現可能な世界だ。

アイオンでは受信アンテナを膨大に配置し、データを処理する機能をクラウド上で共有する。そして、分散しているデータセンターをぶどうの房のようにつなげて、ひとかたまりのように動かす。システムの隅々まで光通信を張り巡らせることによって、「高速かつ遅延のない大容量データの受け渡しと、超低消費電力を両立できるようになる」(川島氏)という。そして、このアイオンを支える中核技術の一つが次世代の半導体だ。

半導体チップに「光」の通る回路を作り情報を処理する

かつてない技術をひっさげて、通信の巨人が新たな情報通信革命を起こそうと牙を研ぐ。神奈川県厚木市の丘陵地にあるNTTグループの研究所。緑に囲まれたこの研究所のクリーンルームなどで「光の半導体」の技術研究開発が進んでいる。


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